黒瀬くんの恋模様。




「に…げ……ろ…」



掠れてよく聞こえない声



「ハル…」



文香の目には涙が溜まっていた。




「…っぐ」



ゲホゲホと咳き込んだハル先輩を男は冷たい目で見た。




「逃げろとかカッコつけてんじゃねーぞ?あぁ?」



そう言って次は蹴りをいれはじめる。





やりすぎなんじゃねーの?



てか、ここファミレスだろーが。



店員はどうしたんだよ!!!!





店内をキョロキョロすると店員と客は奥の部屋からこっちを覗いていた。




…くっそ




腹が立つ。



店員と客にじゃない。




なにもできない俺に腹が立つ。




「ね~!千尋くんはぁあたしとぉ楽しいことしようよぉ」




ただ立ちすくむ俺に腕を絡ませてきた女。




…うっぜぇんだよ




「…失せろ…」






「…ぁ」








俺の言葉に女は怯えたように離れていった。




「文香ぁ!!!!!」



男の怒鳴り声が響き渡る。




ハル先輩は息をするのも苦しそうに倒れていた。















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