君恋 ~あの夏の記憶~
またあの頃みたいなプレーができるようになるとは思わなかった。
手が震えなくなるとは思わなかった。
あたしは吃驚して自分の手をじっと見ていた。
ガタッ
「やっぱ上手いね、結奈ちゃんは」
「えっ……」
先輩…。
まだいたの⁇こんな遅い時間なのに。
「結奈ちゃんのバスケ、初めて生で見た」
「衰えちゃってますけどね」
あたしはあははっと笑って答えた。
正直これ以上バスケの話はしたくない。
もっとやりたくなってしまうから。
「それに…あたしこないだまでシュート打てなかったんです。手が震えちゃって…シュート、打てなかったんです」