君恋 ~あの夏の記憶~
初めて呼び捨てで呼ばれたから驚いて顔を上げると、先輩は少しだけ微笑んでいた。
「結奈はやっぱり……
いや、結奈の本音を言えよ」
「あたしは…ほんとは、もう1度コートに立ちたいっ‼︎
コートの上で、またプレーしたい。…仲間と、一緒に」
先輩の優しい声を聞き、思わず本音を出してしまった。
でも、ずっと胸に秘めていた思いを吐き出せてスッキリした。
先輩に、あたしの思いを分かってもらえてて嬉しかった。
「よくできました」
そう言って頭を撫でる先輩に少しだけドキッとした。
「子供扱いしないでよっ‼︎
…でも、ありがと。シュート打てるようになったのも、多分先輩のおかげだから」
先輩は素直にお礼を言うあたしに驚いてたけど『いーえ』と言って悪戯っぽく笑った。