your magic

「ほの、何で俺が階段とかまで行って、頭ポンポンするか、分かるか?」

正直、子ども扱いされているのかなって、ちょっと気になっていた。まだ仕事残っているんだし、そんな毎日ポンポンするだけのために来なくてもいいのに、と思っていた。

「ほのがホッとする顔、見たかったんだ。毎日、お疲れさまっていう時に、頭ポンポンってすると、すごくホッとした顔するだろ?あの時のほのの顔、俺、好きなんだよ。」

そんな風に思ってくれていたんだ。

「ありがとう。」

どういたしまして、というと、マグカップのミルクティーを一口すすった。

「実はさ・・・・・・」

私は正直に、思っていたことを話した。そして、さっき知った、正樹さんが好きという私の表情をとてもうれしく思うということを素直に伝えた。

「ほのはさ、長女だから、甘え下手だよね。」
「うん。甘えていいかどうか、甘えるってどうするか、イマイチわからない。」

そういうと、正樹さんはそっと肩を抱いてくれた。

「俺は無駄に経験は積んでるから、もっともっと甘えなさい。」

私はコクンとうなずいた。

正樹さんの手のひらは、何でもない、普通の手のひらだけど、私だけに魔法をかけてくれる。いつもいつも、優しい気持ちに戻してくれる。

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