your magic
電気ケトルのスイッチがパチンと切れて、沸騰したことを伝えてくれた。

「ちょっと待ってて。ソファーでも座ってて。」

そう言うと、正樹さんは食器棚に向かい、テーブルにマグカップを2つ出した。

私はソファーに座って、正樹さんの様子をぼんやりながめた。マグカップにティーバッグを入れて、お湯を注いだ。少し蒸らす間に、はちみつとチューブ入りの生姜と牛乳を用意して、はちみつジンジャーミルクティーを作ってくれた。

どうぞ、と手渡してくれたマグカップを、お礼を言いながら両手で受け取った。一口飲むと、ふわっと心が軽くなった。甘くてほんの少し辛くて温まる。

「いっぱい泣いたでしょ?」

隣に座った正樹さんが、私の頬をそっとなでた。それからまた、ごつごつの手で、私の頭をポンポンとなでてくれた。
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