今日は、その白い背中に爪をたてる
「アキラッ!?」



こんなところで何を、と背後でクロウや皐月、グランドスタッフが焦る声が聞こえたけど無視した。



世間体なんて糞食らえ。



私は叩かれた頬をポカンとして触る晴斗、もといバカ男を睨みあげる。



「何も言わずに行こうとするですって?
いつ私はあんたの監視下になった、所有物になった!?
あんたに何もかも曝け出すなんてプライバシーの侵害だわっ!!
しかも隠し事?嘘をつく?私が?
誰に向かって言ってんのよふざけんなっ!!
自分の事は棚上げで人を責めることばかりするのねっ!!
そもそも何で私があんたを好きだからといって四六時中側にいなきゃならないのかさっぱり分からないわ。
私にだって仕事がある、生活があんのよ、何もかもほっぽってあんたのとこに行ったら全部面倒みてくれるわけ?
そんなっ、ちょっと好きだって言ったくらいで返事もおろか他所に女つくってるやつなんかに拘束されたくないわっ!!

……人を責める前にまず自分が今まで相手にどんな無礼を働いていたのか考えてものを言いなさいよ。

私が!!
どうしてこんなことをしようと思ったのか少しは考えろこのクソ野郎っ!!」



やった、言ってやった。


一気にまくし立てた瞬間の、この達成感ときたら。


私が爆発した空港は今クロウやバカ男は勿論のこと、グランドスタッフや周囲の利用客までもが立ち止まってシンとしている。


ハアハアと息をきらして怒る私を口をあんぐりあけて見て。


皐月に至っては何故か必死で笑いを堪えている。


バカ男、晴斗は頬に手を当てたままポツリ、晶ちゃん…とふいに出会った頃のような呼び方で私を呼んだ。


それが意外にも甘さを含んだ声に聞こえて勝手に涙腺が緩む。


こんなところで泣くなんて絶対嫌だ。


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