今日は、その白い背中に爪をたてる
大事なのは晴斗が今日からもまた、一緒にいてくれるってことであって。



「私からしたら、好きって素直に言えるようになっただけで十分幸せ。」



そう言うと、晴斗はポカンと口を開けて固まってしまった。


無理もない、あれだけ泣いて怒ったのは他でもない私なのに話し合いを後回しにするだなんて。


けれど冷静になった頭でなら分かる。


私達は色々なものをすっ飛ばして変に近づき過ぎてしまったから。


今までしてこなかったことを初めからすればいいって。


今日が、その最初の日。



「私達、恋愛をやり直すんだよ。」



と、晴斗がおもむろに立ち上がって私の横に座った。


私が首に手を回して抱きつくと、晴斗も応えるように抱きしめ返してくれる。


次に唇が、頬や耳に当たるのを感じて。


私は幸せな気分で目を閉じた。






ーー今日は、貴方の白い背中に爪をたてる




Fin.
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