俺様常務とシンデレラ

「アジュールでのウエディングプランの料金を下げたことで、東堂社長は模擬挙式にいくつかの変更を加えたそうだね。そこまではきみも理解しているね?」

「はい」


私を甘く捕らえる、濡れたように光る常務の黒い瞳。

同じ色のはずなのに、会長の瞳は鈍く強い光をたたえ、重たい視線で私を捕らえる漆黒。


私は会長の言葉をひとことも逃さないようにしっかりと聞き、ちゃんと頭で理解したことを確認しながらコクリと頷いた。


東堂社長が言っていた変更点は、すべて報告書に記載したはずだ。

どれもプランの料金の値下げに合わせて、模擬挙式の演出を予定していた格調高く厳かなものから、誰にでも受け入れやすくカジュアルなものにするための変更だ。


チャペルや披露宴会場の細かい色遣いやセッティングに関することだったり、パーティーで予定されていた管弦楽器による演奏に関することだったり……。


ひとつひとつは小さなことだったけど、全体の雰囲気としては随分と柔らかく、良くも悪くも明るく開放的でお手軽な結婚式という印象だった。



「その変更は、受け入れてはいけないものだったんだよ。現に、きみの報告書を読んで訂正を求めた大和のもとに、東堂社長からお怒りの電話が届いた」

「え……?」


私は今度の言葉はすぐに理解することができなくて、ただ困惑して、ドクドクと激しく打ち付ける心臓の音に耐える。


どういうこと?

理久さんの話をちゃんと聞いて、もらすことなく報告するだけではダメだったの……?
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