俺様常務とシンデレラ
私は新婦役の真っ白なウエディングドレスを着ていた。
ベルラインドレスといって、ウエストから下がベルのようにふんわりと広がったシルエットになっている。
ウエストから上はビスチェタイプのぴったりとしたもので、ヘッドドレスとしてティアラを付けてもらった。
プリンセスラインと違ってウエスト部分に切り返しがあり、中世ヨーロッパの舞踏会で流行した衣装なんだとか。
これから向かう披露宴会場の雰囲気にすごく合っていて、まるで今日だけ本当の舞踏会のお姫さまになるような気分だった。
控え室からこの披露宴会場の入口へ歩いてくるまでの間に理久さんから渡されたのは、常務のタキシードに合わせた青いブーケだ。
深い群青色と水色と白の3色からなるバラの花束。
「ほら、お互い見惚れ合うのも大概にしろ。時間だ」
理久さんは『世話の焼けるやつら』とでも言いたそうな顔だったけど、私はもう全然気にならない。
だって常務ってば、本当に本当に素敵なんだもんっ!
「いいか?」
常務が引き締まった顔つきに戻り、私にそっと腕を差し出した。
「はい!」
私はにっこりとして頷き、その腕に手を添える。
理久さんがドアを開け、私たちはパーティーが行われている披露宴会場へと足を踏み入れた。