俺様常務とシンデレラ
午前の部の挙式はチャペルで行われ、本番さながらの雰囲気だった。
だけど午後の部はパーティーがメインだから、私と常務は、新郎新婦役として皆さんにこの姿をお披露目しつつ会場をぐるぐると回っていればいい。
要するにこの衣装のことさえ気にしなければ、常務にとっては慣れたもので、すっかりリラックスしているのだ。
一方、私はホールに入ってたくさんの人とあいさつを交わすうちに、帝国葦原館の周年記念パーティーと同じくらいカチコチに緊張してしまっていた。
隣に立ってどこかの社長さんと会話をする常務は、ホールの柔らかな光に包まれていつも以上にキラキラして見える。
なんかズルくない?
私ばっかりこんなに緊張して。
私は子どものように唇を尖らせて、広い会場にそっと視線を巡らせた。
「あっ!」
そのとき、珍しく自分でも知った顔を探し当てて、途端に嬉しくなった。
あの人、この前の……!
私はこっそり常務の隣を離れ、その人物に近付く。
「あっ、あの、こんにちは!」
「ん?」
今日もカクテルグラスを片手に陽気に笑う、カボチャパンツが似合いそうなその人。
葦原館の周年記念パーティーの夜に、ふらふらしていた私に"ハンター"を勧めてくれた男性が、私の声に反応して振り返った。