俺様常務とシンデレラ
「おや、あなたは大和さんの可愛い人ではありませんか。今日は一段とお綺麗ですね。お酒にはくれぐれもご注意を」
カボチャパンツの彼は最後の部分だけ小声で言って、ニヒヒといたずらっぽく笑った。
「あ、うっ、その説は大変ご迷惑を……」
私はいたたまれなさに身体を小さくする。
は、恥ずかしい……!
あれは慣れない一気飲みなんてしたせいでちょっと目眩がしただけだけど、この人の前にいるときはすっかりふらふらだった。
「いえ、迷惑などではありませんよ。あんなふうに焦る大和さんを見たのは初めてでしたしね」
カボチャパンツの男の人は、あのときの常務の様子を思い出しているのか、愉快そうに目をかまぼこのような形にする。
やっぱりこの人、すごくいい人だったんだ。
ミルクティーみたいな髪の色とか、今日もゴールドみたいな派手な色遣いのタキシードで、ちょっと軽薄そうに見えるけど……。
この人もきっと、本当の常務を好きになってくれる人のような気がする。
「あっ、あの、失礼ですがお名前を……」
「草十郎(そうじゅうろう)くん」
こんなに親切な人をいつまでもカボチャパンツ呼ばわりするのは良心が痛むので、彼に名前を問おうとすると、後ろから聞き覚えのある渋い声がとんできた。