俺様常務とシンデレラ

こ、この声は……!


私はハッとして振り向く。

そこにいたのは、チャコールグレーのタキシードで正装した葦原会長と、その後ろに控えた夏目さんだった。


私は慌てて頭を下げる。


「葦原会長、お久しぶりです」


隣に立っていたカボチャパンツの男の人は優雅に腰を折り、会長にあいさつをする。


信じがたい……。

信じがたいけど、まさかこの人、"草十郎"って名前なんだろうか。

に、似合わない……!


「先程、日向(ひゅうが)社長にお会いしたよ。お元気なようだね」

「ははは、父はあの歳になっても元気すぎるくらい元気ですよ」


日向社長……。

確か、葦原ホールディングスの関連会社である不動産会社の社長だと思う。

その方がお父さまということは、この人の名前は日向草十郎で、日向不動産の御曹司なんだ。


カボチャパンツの似合う中世ヨーロッパ貴族どころか、戦国武将のような名前だったなんて。


「佐倉さん」

「はっ、はい!」


頭の中の勝手なイメージを覆されて軽くショックを受けていたところで突然会長に呼ばれ、私は飛び上がって返事をした。
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