俺様常務とシンデレラ
「だけどあそこにはそれだけの価値があるし、コストもかなりかかっている。息子の理久が、これ以上は下げられないと渋るのもよくわかるんだよ」
東堂会長はぽちゃぽちゃした顎をなでながら、困ったようにそう言った。
「でもね、大和くんの言うこともよくわかる。絵未ちゃんみたいな素直な女の子にも、夢を見ることを忘れてしまった女の子にも、おとぎ話の世界が実在することを見せてあげたい」
えっ、常務がそんなことを言ったの?
白馬の王子様なんてバカバカしいって言ってたのに?
私が驚いて常務に視線を向けても、王子様モードの常務は微笑みの仮面を剥がさず、目線を合わせようとしない。
「僕としては正直、どっちでもいいと思うんだよ。プレジはうちの子会社だし、息子が社長を務めているから、あいつの肩を持ってやってたけど……」
東堂会長は困った困ったと言って唸り、首を傾げた。
そして突然、妙案を思いついたみたいに、まるまるとしたこぶしで手のひらをポンッと打った。
「そうだ! 絵未ちゃんが約束してくれるなら、僕も息子を説得してみせると約束するよ」
「え? 約束……?」
はて、と私が首を傾げると、東堂会長は目を三日月型にしてたぷたぷしたお腹をぽよんっと叩いた。