俺様常務とシンデレラ
「え? え? 東堂会長?」
「ん? なんだい、絵未ちゃん」
私が半信半疑で呼び掛けると、こともなげに応えてくれる。
ちょ、ちょっと、待って。
「え? ほ、ほんとに?」
「うむ、確かに私が東堂蘇芳だよ」
え、ええーーー!?
だって、だって、だって……
「だって、写真と全然違う!」
「あはは、いやあ、たぶん絵未ちゃんが見た写真、だいぶ若い頃のだと思うよ。ここしばらくは新しい写真を公式に発表してないからね」
ちょっと太っちゃったんだよ、と言いながら、東堂会長はたぷんとした自分のお腹をなでる。
私がぱちぱちと瞬きをしながら常務の方を見ると、彼は黒い瞳の奥で頷きながらこう伝えてきた。
『頼むから大人しくしてろ』
私は驚きと混乱のあまり、その視線に素直にコクリと頷いた。
猫丸の店長は、自分のお店にこんな大物が来ていたことを知ってるんだろうか。
しかも、ほぼ週1で。
「ところで、絵未ちゃんはどう思う? 大和くんの話では、プランの料金をもっと下げたいということなんだよ。今の値段では高すぎて、普通のカップルには手が出せない」
「は、はあ……」
な、なんでだ。
私の仕事、コーヒーを淹れてこぼさないようにテーブルに置くだけだったのに!
なぜか成り行き上、会談に参加してしまっている。