LAST SMILE ~声を聞かせてよ~
「怖い、とか?」
「はっ!?ふざけんなよ神崎!!
そんなくだんねぇこというな!!」
ムキになってる……。
やっぱ怖いんだな。こいつ……。
でも、それもそうか。
高校生で心臓病で苦しんで、親も亡くして……。
虚勢張ってるけどこいつ、寂しいんじゃないかな?
「……おい、宗佑」
「なんだよ」
「これ、知ってる?」
俺は聴診器を置いて、紙とペンを取り出した。
簡単な問題をさらさらっと書いていく。
「何してんだよ」
「うっせぇな。いいから黙って待ってろ」
【T・N・E・S・S・F・F・T・□・F】
□の中にある一つのアルファベットを当てはめよ。
俺が書いたのはこんな感じのクイズだった。
宗佑は難しい顔をしてそれを見ると、
次に俺の顔を睨みつけた。
「なんだよ。これ」
「そこに書いてある通りだ。
まあ、簡単なクイズだから
明日の夕方の回診までに解ければいいもんかな」
「はぁ?なんだよ。なんでこんな……っ!!」
「うっせぇぞ。じゃー、お大事に」
俺は聴診器をしまって病室を出た。
後ろで宗佑が悪態をついているのが聞こえたけど、
我慢だ、我慢。
病室を出てすぐのところには、
桐生さんがにっこり笑って立っていた。