LAST SMILE ~声を聞かせてよ~



「怖い、とか?」


「はっ!?ふざけんなよ神崎!!
 そんなくだんねぇこというな!!」


ムキになってる……。


やっぱ怖いんだな。こいつ……。


でも、それもそうか。


高校生で心臓病で苦しんで、親も亡くして……。


虚勢張ってるけどこいつ、寂しいんじゃないかな?



「……おい、宗佑」


「なんだよ」


「これ、知ってる?」


俺は聴診器を置いて、紙とペンを取り出した。


簡単な問題をさらさらっと書いていく。


「何してんだよ」


「うっせぇな。いいから黙って待ってろ」




【T・N・E・S・S・F・F・T・□・F】


□の中にある一つのアルファベットを当てはめよ。








俺が書いたのはこんな感じのクイズだった。


宗佑は難しい顔をしてそれを見ると、
次に俺の顔を睨みつけた。


「なんだよ。これ」


「そこに書いてある通りだ。
 まあ、簡単なクイズだから
 明日の夕方の回診までに解ければいいもんかな」


「はぁ?なんだよ。なんでこんな……っ!!」


「うっせぇぞ。じゃー、お大事に」



俺は聴診器をしまって病室を出た。


後ろで宗佑が悪態をついているのが聞こえたけど、
我慢だ、我慢。



病室を出てすぐのところには、
桐生さんがにっこり笑って立っていた。




< 17 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop