LAST SMILE ~声を聞かせてよ~
ひっくり返って落ちたから、
この文字が書いてあるほうが別な面ってことか?
俺はしばらくそのCDをじっと見つめて、
それから再びデッキに戻した。
さっきの歌の続き?
こっち側には何がある?
知りたい。
知りたかった。
急に興味がわいてきて、どうしようもなかった。
音量を上げて再生ボタンを押すと、ザザッと
ノイズのような音が数秒聞こえてから、
その音はクリアになった。
<<あーあー。聞こえてっかな?もしもーし?>>
「男……?」
さっきの女の声とは違う、
低くて綺麗な声が流れてきた。
<<麗華?そこにいる?>>
麗華……。
さっきの女の名前??
ていうことはこの男……
“祐兎”……?
<<誰だかわかる?ギターボーカルの
イケメンって言ったら分るかな?>>
その明るい声は、その後も1人で話し続けた。