LAST SMILE ~声を聞かせてよ~
*
「この歌……」
よくわからない、
女の人のメッセージの後に流れてきた歌。
それはどこかで聞いたことのあるような、
そんな感じのする歌だった。
なんだっけ?
このメロディー。
歌だけじゃわかんねぇ……。
CDを元に戻そうとデッキから取り出すと、
床にCDを落としてしまった。
「はぁー。疲れてんな。俺……」
ため息をついてCDを拾い上げる。
カーテンから射す光が反射して、
CDの隅っこに何かうっすらとした文字を見つけた。
「なんだこれ?」
目を凝らしてCDをじっと見つめると、
見覚えのある文字が見えてきた。
「“Blue sky”……」
“Blue sky”。
ちょっと前に結構騒がれてた高校生バンド……。
俺もどっかのライブの時に、
ちょこっと見たことがあるんだよな。
そっか。
これもそのバンドのメンバーのものなのか。
でも、
なんでそんなもの、桐生さんが持ってんだ?
知り合い……とか?
もしくは―
「桐生さんが……メンバー……??」
ボソッと呟いた自分に驚く。
そんなわけねぇじゃん。
だって、あの桐生さんだぞ?
それに、確かこの麗華って人、苗字は藤堂だ。
桐生じゃねぇ。
そもそもあの人がバンドを組んで、
歌なんか歌うように見えねぇだろ!?
でも……。
色々と考えていると、
もう一つ、気付くことがあった。
このCD、両面だ……。