LAST SMILE ~声を聞かせてよ~






「この歌……」


よくわからない、
女の人のメッセージの後に流れてきた歌。


それはどこかで聞いたことのあるような、
そんな感じのする歌だった。



なんだっけ?
このメロディー。


歌だけじゃわかんねぇ……。


CDを元に戻そうとデッキから取り出すと、
床にCDを落としてしまった。


「はぁー。疲れてんな。俺……」


ため息をついてCDを拾い上げる。


カーテンから射す光が反射して、
CDの隅っこに何かうっすらとした文字を見つけた。


「なんだこれ?」


目を凝らしてCDをじっと見つめると、
見覚えのある文字が見えてきた。




「“Blue sky”……」




“Blue sky”。



ちょっと前に結構騒がれてた高校生バンド……。



俺もどっかのライブの時に、
ちょこっと見たことがあるんだよな。




そっか。
これもそのバンドのメンバーのものなのか。


でも、
なんでそんなもの、桐生さんが持ってんだ?





知り合い……とか?


もしくは―




「桐生さんが……メンバー……??」





ボソッと呟いた自分に驚く。


そんなわけねぇじゃん。


だって、あの桐生さんだぞ?


それに、確かこの麗華って人、苗字は藤堂だ。


桐生じゃねぇ。


そもそもあの人がバンドを組んで、
歌なんか歌うように見えねぇだろ!?





でも……。



色々と考えていると、
もう一つ、気付くことがあった。






このCD、両面だ……。







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