運命の二人～白と黒の物語～
「朝食を終えた後に、リリー様と衣装を選び、着替えを手伝いました。
昼食迄には時間がありましたので散歩をお薦めしたのです。庭の睡蓮が見頃でしたから。」


「それでお前は何をしていたのだ。」


「部屋の掃除や片付けをしていました。
お昼も近くなりましたので庭に迎えに行きましたら、お姿が…」


そう言ってマーサはまた言葉に詰まり、ワアアァと泣き出した。


「一人で庭に行かせたのか？なんと無用心な！
それに昼頃だと？居場所が分からなくなってから２時間以上経過しているではないか。報告が遅い！」


「本当に申し訳ありません。」

マーサはエプロンで溢れる涙を押さえながら何度も謝っていた。


ジャスティスは先程から一言も話さない。


バルゴは胸の内で一人舌打ちした。

(全くあの性悪女！懲りずにまた出ていっただと？何処まで我々を馬鹿にすれば気がすむのた！
死んでくれるならともかく…)

バルゴはここでふと思い出した。


「マーサ。いなくなったのは昼前で間違いないのだな？」

「はい。間違いないです。」


「ジャスティス殿下。」

呼びかけても返事をしない主に続けて話した。


「私が会議の後に渡り廊下を通ったさいにリリー･ルゥ嬢を見かけました。」


「どこだ？」

叱責にも聞こえるほど厳しい口調でバルゴを睨み付けた。


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