運命の二人~白と黒の物語~
ジャスティスは自分の手を見た。

彼は凛々を気遣って、今は手袋を着けていた。

彼女に直接触ると、マーサと同じように体力を奪ってしまうから。

魔力が強い分、彼女に与える苦痛は想像以上だろう。

ふと思った。
彼女は温かいのだろうか?
魔界人は体温がないので彼は人の温かさを感じたことがないのだ。

触れてみたい。
一度でいいから、彼女の肌に手を触れて、そっと撫でてみたい。

そんな事を考えているうちに無意識に首に触れていた。

凛々はビクッと身体を震わせたが、ジャスティスは気づかなかった。

首から頬へと優しく撫で上げ、涙を指でそっと拭いた。


凛々が思わずジャスティスのほうを見ると、焦点の定まらない目で、凛々を見下ろし、そっと顎に手をかけ上向かせた。
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