運命の二人~白と黒の物語~
「…うちに帰りたい…」
自然と涙がこぼれた。

ジャスティスはそっと手を伸ばし、凛々の肩を優しく撫でた。

彼女の気持ちは痛いほど分かった。
生まれてすぐ、運命が決まっている人生など、それが楽しくないものであれば尚更だ。

自分にはそれを理解し、少しでも苦痛を和らげようと心を砕いてくれた家族がいた。

リリーの兄の態度を見る限り、天界で優しくされて育った様には見えない。

でも。
地上界での彼女はとても幸せそうだった。いつも笑っていたな。

やっと幸せになれたのに、それを自分は壊してきたのだ。

ジャスティスは声も出さず泣いている凛々を黙って見つめた。

抱きしめ、口づけし、慰めてやりたい。
君は一人じゃない。私が側にいるからと、言葉をかけてやりたい。

しかし、彼女が求めているのは私ではない。

胸が締め付けられた。
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