色のない世界。【上】
「絵里香姉様は九条院家の中で唯一私に優しくしてくれたの。
ご自分の体調など二の次のような人なのよ?」
私がまだ小さかった頃。
絵里香姉様はよくあの屋敷に来て、色んなことを教えてくれた。
『美桜!』
「絵里香ねえさま!きてくれたの!?」
『当たり前じゃない!
今日は涼音に代わって私が言葉を教えるわ』
「ほんと!?やった!
涼音きびしくていやなの。きっとわたしのこときらいなんだ」
『あら、そんなこと言ったら涼音が悲しむわ?
涼音だって美桜が大好きで、美桜のために教えてるのだから』
「ほんとに?涼音、わたしのこと大好きなの?」
『ほんとよ!
会う度に美桜のこと話すもの。絶対に美桜のこと大好きよ!
だから今日のお勉強頑張って、涼音に褒めてもらいましょう?』
「うん!涼音にほめてもらう!」
まだ若いのに絵里香姉様は何でも知ってて、どんな質問も優しく丁寧に教えてくれた。
あの時の私の"太陽"がお母様だったのなら、
絵里香姉様は私の"花"だった。
絵里香姉様の優しさは枯れた私の心の花を綺麗に咲かせてくれた。