エターナル・フロンティア~前編~

「煩いわよ。いい子ぶって。私達の将来を邪魔しないでよ。それに、関係ないわ。口出ししないで」

「行きましょ。白けちゃった」

 そう言うと、イリアにカバンを乱暴に投げ返す。流石に、この状況で物を奪う行為は行わなかった。大勢が見ている中での盗みはできないと判断したのだろう、その表情は悔しそうだった。イリアは床に叩きつけられたカバンを拾うと、埃を払い散らばった中身を拾いだす。

「ふう、都合が悪くなると逃げるんだから。ねえ、大丈夫? あの二人に関わるのやめた方がいいわよ」

「う、うん」

「毎回、言っているでしょ。嫌なら嫌と言わないと。自己表現をシッカリしないと、ますます利用されるわよ」

「卒業までの辛抱だと思って」

「甘い! あの二人が、諦めると思っているの?」

 無論、イリアはそのことはわかっていた。だが「もしかしたら」という微かな望み抱きながら、何とか耐え続けてきた。だがこのように面と向かって言われると、段々怪しくなってくる。

 周囲に集まっていた生徒達は、二人が立ち去ったと同時に徐々に数を減らしていく。中には残っている生徒もいたが、その者達はイリアのクラスメイト達。どうやら心配になりこの場に駆けつけてくれたらしく、そしてはじまったのは二人に対しての愚痴と批判であった。

「あの二人、何かやらかしたの?」

「懲りない人達よね」

 イリアの顔を見ると同時に、溜息をつく。そもそも被害者はイリアだけではなく、多くの生徒も同じように迷惑を被っている。どうして留年せずに進級できたか――その明確な答えは、他人の協力があった。

 協力というのは、正しい言葉ではない。正しくは強制的であり、つまり先程のやり取りと一緒。自分達の都合の為に、色々と裏でやっているということになる。遡れば、入学当時から行っていたことになるだろう。そうしなければ、留年以前に単位の問題で引っ掛かる。

「取られた物はない?」

「大丈夫だと思う」

 取られた物は、特になかった。しかし“もしも”という場合があったので、イリアはカバンの中身を確かめていく。暫くした後、ホッと溜息がもれる。どうやら取られた物はなかったが、気分はいいものではない。あの二人に私物を弄られ、何かを取ろうとしたのだから。
< 104 / 580 >

この作品をシェア

pagetop