エターナル・フロンティア~前編~
「あのね。借り物をするなら、相手はこんなに嫌な顔はしないでしょ。イリア、泣いているわよ」
「人それぞれよ」
「また、怒られるわね」
卒業が迫っているというのに自身に不利に働くマイナス行動を平気で行なうとは、周囲は呆れて言葉も出ないでいた。いや、その前に卒業ができるか危ない状況。今回の件で、ますます卒業が遠のく。そして、翌年も誰かに頼って楽な学校生活を続けるというのか――
そもそも、アカデミー側がそれを許すか。生徒達への見せしめという形で数年は留年というのは考えられるが、それにも限度があった。つまり今回のような行為を平気で起こす生徒を長年置いておくのは危険で、今のところ裁判まで発展した事件は件もないが気が荒い二人。可能性は無きにしも非ず。
「科学者の夢が遠のくわね」
「何がわかるというの?」
「わかるわよ。そんなことばかりして、真面目に勉強をしていないから。それに、他人に無理矢理借りてレポートの提出。将来、そんなことはできないわよ。世の中、甘くないんだから」
「その時はその時で、別の方法を考えるからいいのよ。そうやってきて、不自由はなかったもの」
今が良ければ、それでいい。何ともお気楽な考えに、未来設計の甘さが露呈する。イリアのクラスメイト達は額に手を当て、頭を振るう。どうやらこれ以上話す言葉が見付からないらしく、完全に何を言っても無駄であった。そう諦めていたが、あることを思い出し追求する。
「ねえ、分野が違うでしょ」
「何よ、分野って」
「二人が目指している分野と、イリアが研究している分野よ。それに、貴女達は真面目に研究をしていない。研究していないのに、それ関連をレポートで提出する。おかしいとは思ったことはないの?」
的確な追求に、珍しく反論が返ってこない。二人が真面目に研究を行っていないというのは、ある意味で有名なことであった。その二人が研究データを提出した場合、怪しいと思うのが普通。それを今まで平然と行ってきた。然も普通に、研究を行っているかのように。
「無断早退に、講義は勝手に休む。それに、他人のデータを盗作。ここまでくると、犯罪に近いと思わないの? 今まで何もなかったので安心していたようだけど、このようなことまでして……どうなるのか、わかっているの? 教授達だって、絶対に許さないと思うわ」