エターナル・フロンティア~前編~

「退学してしまえばいいのに」

 この言葉こそ、皆が思う本音であろう。クラスメイトといっても、名前だけの存在。確かに同じクラスで二人は同じ勉強をしているが、それは共通で学ぶ科目だけであって殆どの場合、個人が選択した科目にわかれてしまう。それぞれの研究が異なるのも、その為であった。

 同じクラスで学ぶ同士、たとえ選択科目が違っていても友人関係まで左右されることはない。それが本来の友情というものであって、あの二人のように押し付けがましい行為が友情のわけがない。

「そう、卒業前にね」

「どうせ、卒業の見込みはなしなんでしょ? なら、アカデミーを辞めた方がいいと思うわ」

「あの二人、能力研究をしたいみたい」

 イリアの発言に、クラスメイトは一斉に間の抜けた声を発す。互いの顔を見合い、時間が停止する。どうやら呆れて物も言えないようで、無謀――いや、世間知らずの馬鹿というべきだ。

「無理」

「夢見すぎ」

「理想と現実を把握していない」

 語られる言葉は、能力研究の厳しい一面を表していた。優秀な成績を修めている生徒でさえ、この分野に携わるのは難しいと言われている。イリアは二人に、このことを伝えるべきかどうか迷っていた。しかしそのことをクラスメイトに話すと、首を左右に振られ「聞くわけがない」と、言われてしまう。それだけ、アニスとディアーナは他人の意見を聞き入れない。

 クラスメイトは、イリアが旅行に無理矢理連れて行かれたということを知っている。そして、その時にあった出来事も知っていた。だからこそ、二人に対して冷たいまでの見方ができる。要は、異端に近い存在。そもそも彼女達はアカデミーに相応し存在ではなく、追い出したかった。

「仮に卒業しても、就職は難しいでしょうね」

「アカデミーで何を学んできたのか。そう聞かれたら、反論できないしね。知識がないもの」

「その前に、科学者は無理ね」

「アカデミーの主になったりして」

 アニスとディアーナは、そもそも卒業旅行に行く暇などなかった。イリアは単位・出席日数が足りているので問題はなかったが、彼女達は両方を満たしてはいない。その中での卒業旅行。アカデミーの主になりたいというのか、その場にいる全員がそのように思ってしまう。
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