エターナル・フロンティア~前編~
突っ込んだら、一斉に怒られてしまう。
ある意味で盲目的。ユアンを好きだという人達は、この言葉で表される。だからこそ、何か否定の言葉を言えば一斉に反論が返される。それを恐れて、異性は口を挟まないことにしていた。
「どうしたら、あのようになれるのかしら」
「やっぱり、努力でしょうね」
「努力……辛い言葉」
「でも、あの方に近付くに努力しかないわ」
次の瞬間、一斉に溜息が漏れる。生来の天才とされているユアン。それに近付くには並大抵の努力では無理とわかっているので、彼女達はほんの些細な夢を見る。それが、彼に会った時に見せた反応だ。
「好きな人って、いるのかしら?」
「もしいたらショック」
「いないことを、願いましょう」
彼女達にとって、これが一番の問題といっていい。もしユアンに彼女がいた場合、多くの生徒が泣き喚く。だが、恋愛は本人の自由で、他人がどうこう言う問題ではない。しかし彼女がいるもしくはできた場合、気に入らないという感情が先走り別れさせるという結論に至る可能性が高い。
自分の思い通りにいかなければ――悲しいことに、そのような考えを持つ者が多いのが実情。この場合、相手のことなど考えていない。目先の利益のみを追求し、都合の良い方向に動かす。所詮、人間とはそのような生き物。イリアがクラスメイトのことをどのように思っていても、彼女も似たような部分がある。
皆、生身の人間。
それは、仕方がなかった。
「そうよ。あの方は、皆の憧れ」
「彼女になりたいと言うことは禁止」
「そう、告白は厳禁」
「それは、ファンクラブの規約に書かれているわよね。だから、規約は守らないといけないわ」
ユアンのことが好きだという者達で結成されている、ファンクラブ。その会員規約は想像以上に多く、そのファンクラブの規約の中には「告白厳禁」という抜け駆け防止があった。
一人だけ幸せになるということは、許せない。ある意味で女の嫉妬心を感じる項目であるが、誰一人として文句を言う者はいないという。つまりこの項目がなければ、好き勝手に告白する者が増えてしまう。そして告白が受け入れられてしまったら……と、誰もが恐れる。