エターナル・フロンティア~前編~
(まだかな)
騒ぎは一向に治まる気配がなく、それどころかますます賑やかになっていく。騒ぎを聞きつけ、他の生徒も集まってきたのだろう。気難しい人物であったらこのような馬鹿騒ぎに近い状況は迷惑と思うが、全くといっていいほど嫌な顔を見せないのはやはり器の違いか。
相手がソラの場合、そそくさと立ち去っている。彼はこのようなことに関しては無頓着で、騒がしいのは嫌い。そして、ソラに言わせると「押し付けの愛情はいらない」と、なる。
確かに、この状況を見ていると「押し付けの愛情」と、捉えられなくもない。中には邪な感情を抱いて近付いている者もいるだろうから、純粋にユアンを「尊敬」で見ているかどうか怪しい。
ソラとユアンの違いは、何か。ユアンは相手の感情を素早く読み取り、相手の一歩二歩先を行く。当初イリアはそれを素晴らしいことを考えていたが、最近では見方が変わってきている。言い知れぬ何かを感じるが主な理由だが、だからといって正確には答えられない。
イリアは物思いに考え事をしていると、女子生徒の落胆の声音が聞こえてきた。どうやら、ユアンが立ち去ってしまうようだ。仕事をしにアカデミーに訪れたのであって、女子生徒に会いに来たわけではない。彼は軽い返事を別れの挨拶とすると、目的の場所に向かう。
数人の生徒がユアンの後を追うように追い駆けるも、違う生徒に阻まれ止められてしまう。ユアンが立ち去ったと同時に集まっていた生徒達もそれぞれの場所へ行くと思われたが、その気配は見受けられない。互いに楽しそうに喋り、中には喜びを動きで表す者もいた。
「あっ! いたいた。もう、団体行動は乱さない」
姿が見えなくなってしまったイリアを捜していたらしく、クラスメイト達が慌てて近付いてくる。怒っている様子は、受けられない。どうやら「素敵な人物に出会えて嬉しい」という感情が勝り、怒りが込み上げてこないようだ。それどころか、全員が破顔を浮かべていた。
「だって、恥ずかしいから……」
「それ、イリアらしい答え」
「でも、本当にかっこいいわ。皆が憧れる理由、納得できるわ。物語に登場しそうな、人物ですもの」
その言葉に、イリアを覗いた全員が妄想の世界に飛んでしまう。それはこの者達だけではなく、ユアンの周りに集まっていた生徒が皆同じ状況であった。傍から見れば異様な光景であったが、それを誰一人それについて突っ込む者はいない。それだけ、ユアンは人気が高い。