エターナル・フロンティア~前編~
「イリアの会員登録が完了したことだし、さっそく卒論を書きに行きましょう。期日は、近いわよ」
「卒論を書き終えたら、皆で食事に行かない」
「それ、いいわね」
「賛成!」
「美味しい物を食べたいわ」
「奮発しないと」
「勿論!」
その提案は、クラスメイト達に受け入れられた。今回はあの二人が相手ではないのでイリアは素直に楽しむことはできるが、ファンクラブの内情を知り複雑な心境がないわけでもない。
目標が決まれば、彼女達の次の行動は素早かった。イリアを含め全員は図書室に向かうと、真剣な表情で卒論に取り組む。無論、「卒業」というひとつの目標に向かい突き進むしかない。
◇◆◇◆◇◆
その頃、ソラはカディオと共に買い物をしていた。だが、二人がいる場所は男同士が訪れるに相応しい場所ではなく、其処は女性が好き好んで購入しそうな小物を売っている店であった。
遠くから冷たい視線が送られ、影ではひそひそと噂話をされている。それを気にしつつも、ソラは店から出ることはできない。その理由は、先程からカディオが固まって動かないのだ。
「まだか」
「うーん、もう少しだ」
「どれだって、同じだろ」
「違う! このような物は、女性の好みが表れる。そんなことを言うから、イリアちゃんに嫌われるぞ」
ソラの表情が、徐々に歪んでいく。確かにイリアとは幼馴染の関係であるが、それ以上は望んでいない。それにプレゼントした物の中には「適当」という品物が含まれていた。しかし今年からは、欲しい物を聞いてから渡すことにしているので「適当」という言葉は今年で終わる。
その時、カディオが誰にプレゼントを渡そうとしているのか気になりだす。まさか、本人が使う――というのは、可能性として低い。いやそれ以前に普通に使用していたら、それはそれで実に不気味だ。だとすれば、他人にプレゼントするというのが正しい答えだろう。