エターナル・フロンティア~前編~
写真があるというのなら可愛いかどうか判断することができるが、カディオがそのような物を――いや、それはわからない。カディオなら、持っていてもおかしくはない。ソラはカディオの顔を見詰めつつ「盗撮」という言葉を思い浮かべる。それでも、友人を信じたかった。
「好きな子の写真って、持っていたりする?」
「あるよ」
その答えに「やっぱり」と、ソラは心の中で叫んでしまう。こうなったら、完璧に盗撮である。カディオが好きな相手に写真を求めることなど、まずあり得ない。そもそも、声を掛けているかどうか怪しい。
「見る?」
「まあ、興味あるね」
「これだよ」
ポケットから携帯電話を取り出すと、画面に好きだという人の写真を映し出す。それを横から覗き込むように見たソラは「可愛いね」と、正直な感想を言っていた。実際の年齢はこれだけでは判断することはできなかったが、茶色の髪をショートにした幼い印象の少女。
カディオが「愛らしい笑顔」と言っていたのは、何となく理解できた。確かに笑い顔は可愛い。すると、音をたて携帯電話が閉じられた。どうやら、これ以上見せる気がないようだ。
「取るなよ」
「何が?」
「彼女のことだよ」
「安心しろ。お前の幸せは奪ったりはしない。それに、今回はお前との友情を選ぶことにする」
ポンっと肩を叩くと、さっさと品物を選ぶように促す。ソラの言葉にカディオは手を叩くと、携帯電話を仕舞い再び視線を下に落とす。そして唸り声を発しながら、品物を選んでいく。時間が掛かりそうだと判断したソラはカディオをその場に置いていき、自身は店内を見て回ることにした。
正直、どのような物が女性に好まれるのかわからない。並べられた品物を見ても、さっぱりだった。小物以外にも、アクセサリーが売られている。流石のソラも女性がアクセサリーを好むということは知っているが、デザインで選ぶとなると難しいものがあったりする。
だが、今回はそれに関して妙に詳しいカディオがいる。それならカディオに選んでもらいイリアにプレゼントすればいいだろうが、はじめから頼むことができない。そのような理由から、ソラはアクセサリーを凝視した。しかし、購入しようという気分は湧いてこない。