エターナル・フロンティア~前編~
「では、行こうか」
「はい。よろしくお願いします」
爽やかな笑顔を作ると、二人を案内する。彼の後姿を凝視しつつ、ソラは疑問を整理していく。彼は、何をしに此処に来たというのか。ユアンは偶然と言っていたが、理由もなしに訪れるような場所ではない。
偶然ではなく必然。
そう考えると辻褄が合うように思えたが、相手は食えない人物。何より行動が読めない。それは毎回のことであったが、今日はやけに気に触る。嫉妬――まさに、その言葉は似合っていた。
ふと、カディオの声が聞こえる。それは、ついてこないソラを呼ぶものであった。このまま無視して一人で帰宅するのも選択肢のひとつであったが、提案を受け入れたからにはそれはできない。
ソラは二人のもとへ急ぐと、遅れてしまったことを謝る。そのことにカディオはご立腹の様子であったが、ユアンは先程から笑みを崩さない。「構わない」と一言だけ告げると、再び歩き出す。
嫌な人物。
どのようなことがあろうと、全てを受け入れる器の大きさを見せ付ける。本当に、公私の使い分けが上手い。だからこそ、ここまで人気がある。ソラにとってそれは、一生無縁なことであった。
人気のない場所から、急に賑やかな場所に出る。先程とは一変、多くの生徒の姿が見受けられた。その光景にカディオは感動を覚えたのか、ユアンに何度も感謝の言葉を述べていた。
まさに、迷宮からの脱出。そのことにはしゃぎだしたカディオは再びナンパを試みるが、寸前でソラに制される。また同じようなことをすれば、今度は間違いなく通報が行く。そして世話になりたくない場所へ連行され、最悪の場合、数日間閉じ込められてしまうだろう。
「お前が捕まっても構わないが、巻き添えは困る」
「それ、痛いな」
「そうでもないさ。オレにとっては、普通だよ。何と言うか、常識の範囲で行動して欲しい」
彼等のやり取りを聞いていたユアンが「仲がいい」と、言ってくる。その言葉にカディオは照れた一面を見せるも、逆にソラは嫌な生き物を見るような視線をカディオに向けていた。友人同士、仲がいいというのは当たり前。しかしユアンが言うと、嘘に思えてしまう。