エターナル・フロンティア~前編~
「じゃあ、はじめから聞こうか」
「お、おう!」
「お前の話は長いから、簡略的に頼むよ」
「うっ! 痛い台詞」
ベッドに腰掛けるソラの姿に視線を向けつつ、カディオはソラからの圧力に懸命に耐えていく。相変わらずその一言一言には刺が存在するが、ここでめげるわけにはいかなかった。何より、愚痴を聞いてもらわないといけない。その結果、いいストレス発散となるから。
「例の彼女、知っているよな」
「知っているよ。写真を見せてもらったから」
「簡単に言うと、ふられた」
「それは知っている。さっき聞いたし」
「だ、だよな……」
相当のショックだったのか、なかなか本題に入らない。それどころか喋ることによって更にへこみはじめ、暗いオーラが漂っている。そんなウジウジした態度を、ソラは許さない。
早く続きを喋るように圧力を掛けると足を組み、コーヒーを飲む。いつにない好戦的な態度を取るソラに、カディオは戦き思わずうな垂れてしまう。そして、ポツポツと語りだす。
ふられた――これから話そうとしている内容を一言で表すと、このようなものであった。カディオは好きだという相手に、勇気を出し告白しようとしたが、見事に玉砕。なんでも、告白をする前に横取りをされたという。それも絶妙なタイミングで。お陰で話しかける前に、相手を失った。
他にも同じ考えを持っている人物がいたとは、カディオにとってそれは予想外。はじめからそのことを知っていたとしたら積極的にいっていたというらしいが、果たしてそれでも上手くいっていたか。
玉砕したことに同情心を持つことができるが、何せ相手はカディオ。可哀想だという気持ちより、ソラはおかしかった。お陰で語られる内容に大笑いを続け、時折お決まりの毒を吐く。
「わ、笑うな」
「いや、見事としか言いようがなくて」
「何だよ、さっきは俺を脅していたくせに」
少しは真剣に聞いてくれると思っていたカディオであったが、ソラの冷たい反応にフンと鼻を鳴らし、横を向いてしまう。滅多に見ることのできない、拗ねたカディオ。それは、可愛らしい一面を生み出す。頬は膨らませてはいなかったが、ソラにとってはこれは面白かった。