エターナル・フロンティア~前編~
「笑っている方が楽だろ?」
「まあ、そうとも言えるな」
「なら、人生笑って暮らそう」
「暗くしたのは、何処の誰だよ。お前だろ? ほら、マウスを返せ。いつまで、使っている」
「何だよ。面白かったのに」
カディオをパソコンの前から移動させると、受信されたメールを開き読みはじめる。玩具を取られ愚図るカディオであったが、ソラは両耳を塞ぎ無視を決め込む。構ってくれないことに寂しさを覚えたカディオは暫く部屋の中を歩き回ると、何を思ったのか筋トレを開始する。
「何をしている」
「最近、身体が鈍っていて」
「だからって、人の家で運動をするな。お前の行動は、理解不能なことが多くて本当に……」
態とソラの視界に入る位置で、腕立て伏せを行うカディオ。その何とも目障りな光景にソラは、意図的に能力を使ってみせる。ピシっと音をたてて、何かが砕けるような音がした。
その音にカディオは反射的に周囲を見回し、何処から音が聞こえたのか探っていく。音の発生源は、すぐに特定することができた。それは、マグカップの取っ手が割れた音であった。
「運動は、外でやろうな」
「そ、そうだね」
この状況で能力を使用してくると思っていなかったカディオは、完全に油断していた。能力の使用は、彼に「黙る」という行為を教える。口をつむぎその場で正座をすると、ソラがメールを読み終わるのを待つことにした。力関係は明白。カディオは、根本的な部分では勝てない。
急に、大人しくなったカディオ。その姿を見たソラは、彼がどのような用件で訪れたのか思い出していく。好きな人にふられてしまった影響から、いつの間にか話はおかしな方向へ進んでいた。
これは毎度のことであったのでソラは気にしていないが、話を元の位置に戻しカディオの恋愛事情を何とかしなければいけない。彼の恋愛はどうでもいいが、このままでは可哀想だ。
ソラは読み途中のメールを閉じると、パソコンの電源を落とす。そして器用に顔だけカディオに向けると、中断していた先程の話について尋ねだす。するとその質問は禁句に近かったのか、カディオは正座したままの体勢で横に倒れてしまう。そして更に、涙を流した。