エターナル・フロンティア~前編~

「私より、素晴らしい人物なのですね」

「それは、何を持ってそのように聞くのかな?」

「それは、知識と立場と……美貌」

 後半に向かうにつれ徐々に声音が小さくなってしまうが、ユアンはハッキリと聞き取れた。それにより、イリアの表情が変化した理由を知る。それは人間が持つ、他へのライバル意識だ。

「容姿は、気になるものかな」

「そ、それは……」

「長く付き合う場合、容姿より中身の方が大事だよ。容姿は時と共に変化してしまうが、中身は違う」

 その言葉に、ピクっとイリアの身体が震えた。外見より内面――それは、イリアにとって嬉しい言葉であった。これにより容姿がいまいちであったとしても、恋愛に発展する可能性が高いということが判明する。今の一言で、イリアの表情が一瞬にして明るく変化した。

 それは、ユアンに好かれるという意味ではない。幼馴染の――ソラとの関係に、希望の光を見出したのだ。彼女は口に出すことはしないが、心の隅に相手に対して好意を持っていた。

 突然の変化に、ユアンは言葉を掛けるタイミングを見失う。しかし同時に、言葉を掛けてはいけないと判断していた。イリアは今、微かに頬を赤らめている。まさに、恋する乙女状態だ。

 ユアンは、イリア・ランフィードという女性の性格と特徴を知った。尚且つ、どのように扱えばいいのか導き出す。些細なことで様々な情報を得ることができ、今後の付き合い方の参考にしていく。

 そう、所詮は――

「女性は、素直な方がいい」

「それは、博士の好みですか?」

「そのように取っても構わない」

 その言葉に、イリアは大きく頷く。美貌ではなく内面が大事。そして素直な性格の持ち主で、更に料理が上手い女性。それが一般的な男性の好みで、イリアはこれから目指す目標を持った。それは、イリアにとって高い目標であったが「幼馴染の為」と、頑張って突き進んでいく。

「ああ、先程の話だけど――」

 何かを思い出したように、ユアンはテーブルの上にノートパソコンを置く。見覚えのあるそれは、車の中でイリアに渡した物であった。どうやら私的な話により中断してしまったアシスタントの話を、此処でするようだ。ノートパソコンの電源を入れると、画面をイリアの方向に向ける。
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