エターナル・フロンティア~前編~

(そうよ、連絡しないと……)

 慌てて携帯電話を手に取るとソラに電話を掛けるが、相手は留守電にしていた。結果、ソラの状況が把握できず、それに卒業報告もできない。今まで世話になってきた手前、黙っているわけにもいかない。

(ソラの都合もあるものね)

 ユアン同様、ソラも仕事が忙しい。あのように思い付きで電話を掛けても、すぐに出るとは限らない。しかし、確実な方法がないわけでもない。それは、メールを送信することだ。

 いつ読まれるかわからないのが難点だが、電話を何度も掛け相手を待つより、簡単に済ませることが可能だ。それに言葉に出して恥ずかしいことも書くことが可能で、イリアはその方法を選ぶ。

(卒業式、どうしようかな)

 卒業式は大勢から祝って欲しいものだが、ソラと父親の関係は悪い。いや、最悪というべき状況にあった。ソラが能力者だとわかった瞬間から、険悪なムードになってしまった。それでも祝いに来てほしいと思うのが本音であったが、それを口に出して言うことはできない。

 イリアにとって、それが正直な想い。そして、祝い事に沢山の人が集まるのは当たり前だと思っていた。だが、それを素直に望むことはできない。そうなってしまった、両者の関係。イリアはこの状況を、ただ嘆くしかない。そして、能力者を取り巻く現在の状況を――

(お父さんが、ラドック博士みたいな性格だったら良かったのに。そうすれば、何も言われない)

 憧れの人物のことを思いつつ自身の父親の欠点を愚痴るが、それは思った以上に多くかなりの数が上げられた。それだけ父親に不満があり、ユアンが理想の存在と証明してくれた。

 ふと、良い考えが思い付く。それは式が終わった後に、個人的にソラに会いに行けばいいというものだ。何とも簡単な方法であったが、悩みが多いイリアにはその方法を思い付くにも苦労する。

 そうと決まれば、メールを送らないといけない。イリアは椅子に腰掛けると、パソコンを立ち上がる。そしてリズミカルにキーボードを叩くと、卒業式のことについて打ちはじめた。


 何とか卒論は合格をした。

 そして、卒業が決定した。

 その卒業式の日程と時間は――

 当日、二人会いたい。
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