エターナル・フロンティア~前編~

 それに、話もしたい。

 また、決まった肝心の就職先について。

 其処は、ラドック博士が勤めている。

 そして――


 一通り其処まで打つと、ソラ宛に送信する。そして次に、違う内容のメールを打ちはじめた。次の相手はソラではなく友人宛で、例の旅行についていくつか質問をしたかったからだ。此方に関しては特に悩みはないので、キーボードを打つ表情が明るいものへと変わっていく。

 父親――いや、両親より友人達。イリアにとっては、其方の方を大切にしたいと思っていた。付き合うのなら、楽しい方がいいに決まっている。たとえ両親がどのように考えていても、イリアには関係ないことであった。また就職したら、一人暮らしをしたいとも考えている。

 しかし今のところ、明確な人生設計を考えていない。ただ、理想の場所で仕事ができるのが嬉しかった。それに今は、旅行のことを何とかしないといけない。短い日数になってしまうが、今回は思いっきり楽しもうと思っている。ストレス発散と鬱憤晴らしには、最適であった。

 友人への質問内容を打ち込むと、友人に送信する。ソラ同様、瞬時の返信は期待していない。だがどのような回答が帰ってくるか、とても楽しみだった。イリアにとって旅行は、今からはじまっていた。

 その時、ベッドに置いてあった携帯が鳴り出す。イリアは慌てて携帯を手に取ると、着信相手を確認する。画面に表示された名前に、反射的に間抜けな声音を発する。彼女にしてみれば、相手がソラだと期待していたのだ。しかし今回の相手はユアンで、慌てて電話に出た。

「このような時間に、すみません」

 電話に出たと同時に、イリアは申し訳ないという気持ちを言葉に表すが、返ってきた返事は笑い声。唐突なその声に、イリアは何も言えなくなってしまう。すると更に、笑い声が響いた。

「ご、御免なさい」

『いや、構わないよ』

「いえ、本当に……」

『本当に、君は面白い』

 いつもと代わりない優しい声音に、イリアは胸を撫で下ろしていた。やはりユアンは、普通の人間とは異なっている。一般の人間が持っていない何かを持っているような、そんな雰囲気がある。だからこそイリアはユアンを慕い、そして「この人物なら」と、尊敬の念を持つ。
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