エターナル・フロンティア~前編~
だが――
野菜類は、何に使用するのか。
確かに世の中、野菜を使用したケーキという物は存在するが、ソラは野菜ケーキを作った経験を持っていない。それに大根はケーキにミスマッチで、料理経験が少ないのでこれはこれで仕方がない。
だが、材料の選択時から感性が怪しい。普通「ケーキを作る」という時点で、選ばないといけない材料はある程度わかるものであるが、イリアは見事にソラの期待を大きく裏切った。
いや、ある意味で天性の才能と表現できる。しかし、問題の方が大きい。文明・文化が発達しているこの現代、自分で料理を作らなくても生きていけるが、スーパーマーケットで数多くの食材が売られているというのは、やはり自分で料理を作って食べるという習慣が一番いいからだ。
それにより、年々調理器具が発達している。
勿論、その中に「自動調理機」という便利な代物も含まれているが、売れている個数でいえば一般の調理器具。無論、便利で高性能の機械が登場すると、ソラもインターネットで購入している。
やはり、どれだけ生活面が豊かになっても「食」という根本的な部分は、変わらないという証明でもあった。現に美味しい物を食べて怒る人間は殆どおらず、それだけ重要なのだ。
(本当に――)
ソラは袋から顔を覗かせている大根を叩くと、椅子から腰を上げた。その瞬間、眩暈を覚えた。
一瞬、身体が浮き上がる。
そして、膝から崩れた。
「くそ」
思わず、毒付いてしまう。
それと同時に、検査の時の副作用と思う。
床に両手を付くと、肩で息をしていく。
そして、激しい動悸が続く。
苦しい――
それが、全身を支配した。
(相変わらず)
それは、大量の薬を服用した時に表れる症状に似ていた。いつもと同じであったら、横になれば気分が良くなっていく。その為、ソラは寝室へ向かうとベッドの上に倒れ込むように横になった。視界がグルグルと回転し、それに伴い何とも表現し難い感覚が身体を駆け巡る。