エターナル・フロンティア~前編~

「潰れても、大丈夫?」

「味は、問題はないよ」

「良かった」

「貸して。オレが入れるよ」

 見兼ねたソラがイリアからジップロッグを受け取ると、丁寧に入れていく。流石というべきか、綺麗にジップロッグの中にシフォンケーキが納まった。そして封を閉じ、イリアに手渡す。

「有難う」

「上手くいくといいね」

「う、うん」

「どうした?」

「……何でもないわ」

 イリアはそれ以上、言葉を続けようとはしなかった。ソラは、相手の気持ち――特に、異性の感情を読み取るのが下手だった。それによりイリアは深々と頭を垂れると、一言「有難う」と、言う。

「いいよ。それに、早く行かないと」

「……うん」

 ソラの言葉にイリアは、シフォンケーキをカバンの中に詰め込むと再度御礼の言葉を言い、玄関へと走って行った。一方ソラは、完全に疲れてしまったらしくその場から動こうとしない。

 遠くで、扉が閉まる音が響く。

 その瞬間、台風が過ぎ去った。

 一拍置いた後、ソラは長い溜息をつく。

 そして、椅子を引いた。

(やれやれ)

 今日は、やけに身体が疲れる。ソラは深々と椅子に腰掛けると、何度も溜息をついていった。視界の中に、イリアが買い込んできた大量の材料が飛び込んできた。作った料理は、シフォンケーキのみ。

 その結果、大量という言葉が似合う量が残っていた。ソラは今までの仕事料ということで、これら全てを貰うことにした。ソラは定期的に自炊を行っているので、大量の材料は有難い。

 しかし――

 イリアは、シフォンケーキの中に何を入れようとしていたのか。買ってきた材料の種類に、理解に苦しむ。果物が入った缶詰。これは理解できる。一般的な菓子類は、果物を主体としている物が多い。そして小麦粉に卵に砂糖は、菓子作りの基礎となる部分に使用されるので必要だ。
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