エターナル・フロンティア~前編~

 胃が、焼けるように痛い。

 まるで、胃の中が硫酸で満たされている気分だった。

 ソラは懸命に、空気を求めるように喘ぐ。

 何故。

 どうして――

 身体を蝕んでいく症状に、毒付いてしまう。そして、寿命が削られていることに嘆いた。一体、何歳まで生きていけるのか――ソラは今まで、自分の寿命の計算をしたことはない。それについて今まで関係ないと思っていたが、今は無性に自身の残り寿命が気になってしまう。

 刹那、身体は震えた。

 それに伴いソラは、ベッドからずり落ちた。

 そして、何度も堰を繰り返す。

 ピチャ。

 床の上に、複数の液体が落ちていく。それはソラが吐き出した鮮血で、それも何処かどす黒い。

(……あいつ等)

 無理矢理、喉に流し込まれた大量の薬。あれによって、胃を痛めてしまった。床に落ちている血が赤ではなく黒というのは、胃が異常を示している証拠。無意識にソラは吐き出した血に視線を落とすと、自身を苦しめていくどうしようもない症状に、大声を発していた。

 不幸と幸福。

 それらは、一定の割合で人間に分け与えられている。

 しかし、ソラは違う。

 不幸の割合の方が、多かった。

 薬の大量服用により、胃痛と同時に張りを感じる。今は胃の中は空っぽ。いや、食事が喉を通らない。そしてシフォンケーキを作っている時も、膨満感に苛まれていた。それにより食事の回数が減っていき、確実に体重は落ちていた。そして現在の体重は、平均以下だ。

 この調子では、長期入院が余儀なくされてしまう。

 ソラはそれを拒む。

 入院は同時に、科学者へ実験の材料として、我が身を提供することになってしまうからだ。

 それは、何としてでも避けないといけない。だが連続して襲ってくる胃痛に、ソラの額には大量の脂汗が滲み出ていた。その時、徐々に目の前が真っ暗になっていく。そしてそのまま、吐き出した血の上に倒れてしまう。身体が重く、まるで全身が石になったかのようだ。
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