エターナル・フロンティア~前編~

「有難うございます」

「いや、構わない」

「本当に、危なかったです」

「そうだね。自分で作ったケーキではないから」

 それは、何気ない一言。

 その瞬間、イリアの心臓がドキっと高鳴る。

 気付かれた――

 見る見る内に、イリアの顔から血の気が引く。それを見たユアンは、苦笑と同時に肩を竦めた。

「やはり……」

「どうして、わかったのですか」

「会話の内容が、おかしかった。それは、以前の時から感じていたよ。それに、幼馴染は料理が上手い」

 ユアンの洞察力は半端ないので、そのように誤魔化したところでユアンに通じない。それを痛感したイリアは、本当のことを話していく。シフォンケーキを作ったのはソラで、入れ物がなかったのでジップロッグに入れた。そして、クラスメイトに内緒にしてほしいと頼む。

「今回だけだ」

「はい」

「しかし、彼は本当に菓子作りが得意のようだね。このケーキは、実に美味い。売っている物と大差ない」

「一人暮らしが、長いそうですから。それに、菓子作りは趣味だと言っていました。他にも作れるようです。ですので、今回は特別に作ってもらいました。練習しても、失敗していまして……」

 それを聞いたユアンは、やはりソラをパーティーに連れてくるべきだったと思う。これほどのシフォンケーキを作ることができるのなら、普通の料理も美味しいに違いない。ユアンは不適な笑みを浮かべると、今度連れてきてほしいと頼む。何でも、料理対決をしたいという。

「本気ですか?」

「本気だ」

「その時……」

「ランフォード君も一緒にどうだ」

 勿論、イリアが断るということはしない。ソラの料理の上手さは、イリアがよくわかっている。それにユアンの料理は、以前に食べたナポリタンが美味しかった。それを考えると、本気での料理対決は楽しめる。そして下手な料理店で金を出して食べるより、お得である。
< 323 / 580 >

この作品をシェア

pagetop