エターナル・フロンティア~前編~
「有難うございます」
「いや、構わない」
「本当に、危なかったです」
「そうだね。自分で作ったケーキではないから」
それは、何気ない一言。
その瞬間、イリアの心臓がドキっと高鳴る。
気付かれた――
見る見る内に、イリアの顔から血の気が引く。それを見たユアンは、苦笑と同時に肩を竦めた。
「やはり……」
「どうして、わかったのですか」
「会話の内容が、おかしかった。それは、以前の時から感じていたよ。それに、幼馴染は料理が上手い」
ユアンの洞察力は半端ないので、そのように誤魔化したところでユアンに通じない。それを痛感したイリアは、本当のことを話していく。シフォンケーキを作ったのはソラで、入れ物がなかったのでジップロッグに入れた。そして、クラスメイトに内緒にしてほしいと頼む。
「今回だけだ」
「はい」
「しかし、彼は本当に菓子作りが得意のようだね。このケーキは、実に美味い。売っている物と大差ない」
「一人暮らしが、長いそうですから。それに、菓子作りは趣味だと言っていました。他にも作れるようです。ですので、今回は特別に作ってもらいました。練習しても、失敗していまして……」
それを聞いたユアンは、やはりソラをパーティーに連れてくるべきだったと思う。これほどのシフォンケーキを作ることができるのなら、普通の料理も美味しいに違いない。ユアンは不適な笑みを浮かべると、今度連れてきてほしいと頼む。何でも、料理対決をしたいという。
「本気ですか?」
「本気だ」
「その時……」
「ランフォード君も一緒にどうだ」
勿論、イリアが断るということはしない。ソラの料理の上手さは、イリアがよくわかっている。それにユアンの料理は、以前に食べたナポリタンが美味しかった。それを考えると、本気での料理対決は楽しめる。そして下手な料理店で金を出して食べるより、お得である。