エターナル・フロンティア~前編~

 意見は、クラスメイトと同等。

 そう、美味いという回答だった。

 その瞬間、女達の顔が一気に歪む。まさに、示し合わせたかのように一秒の狂いも無く表情が変化した。それを真横で見ていた男達は、これまた示し合わせたかのように戦き女の恐ろしい一面を知る。

「いつ、練習したの」

「や、休みの日に」

「そうなの」

「インターネットで、検索したわ」

「それ、普通よ」

 明らかに、言動がおかしい。それに、声音の端々が微かに震えている。また、菓子作りを開始した、明確な理由が語られていない。今までの生活スタイルを考えれば、料理が好きというのは当て嵌まらない。だからといって、この日の為に練習したというのもおかしい。

 それに、シフォンケーキが入った入れ物はジップロッグ。通常パーティーに菓子を持って来る場合、箱に入れ綺麗に包装するもの。それなのにイリアは、堂々とジップロッグに入れて来た。本当に、イリアが作ったのか。ジップロッグという入れ物から、疑惑が膨らんでいく。

 一流の菓子職人が経営している店でシフォンケーキを購入し、それをジップロッグに入れて持って来た。クラスメイトが出した結論はこのようなものだが、意外に本質は正しかった。しかし、どうしてジップロッグなのか――流石にその意味を出すのは、難しいものがある。

「ラドック博士は、いいのですか」

「どういう意味かな」

「ジップロッグです」

「いいと思う」

「そうでしょうか」

「偶々、入れ物が無かったのかもしれない。それに、ジップロッグは密封性が高くていい物だ」

 ユアンの言葉は、他の人物より説得力が高い。確かに何処かへ持って行く場合は、密封性が高い方がいい。それを考えると、ジップロッグに入れて持って来たと馬鹿にすることはできない。

 クラスメイトは、イリアの顔とシフォンケーキを交互に視線を向ける。すると急に気まずい雰囲気になったのか、そそくさとその場から離れてしまう。そして、パーティー会場となっているリビングへと駆けて行ってしまう。一方取り残されたイリアは、胸を撫で下ろしていた。
< 322 / 580 >

この作品をシェア

pagetop