エターナル・フロンティア~前編~
当初、ユアンの料理の腕前はいい方ではなかった。野菜を切るのもままならないで、切った後の野菜のサイズはバラバラ。それに焼き物をすれば、食材自体が墨と化してしまう。しかしユアンは諦めることなく、何回も練習をした。結果、腕前はプロに近いものとなった。
努力と根性。
言い方や考え方は古いが、実に的を射ている。
努力の前に、下手なプライドは存在しない。ユアンの考え方は、これであった。その為、毎日のように練習に励んでいた。努力の結果が今出ているだけあって、ユアンは褒められることではないと思っている。それに彼自身、同じように努力を続ければいいと考えていた。
淡々と語っていく。
無論、周囲は聞き入っていた。
「参考になります」
「期待している」
「ラドック博士のような腕前になるのには、どれくらいの時間が掛かるのかしら。遠いでしょうね」
「でも、努力でしょ」
「そうね」
ユアンの言葉が浸透していっているのか、徐々に考え方が変わっていく。こうなると、クラスメイト全員がユアンの為に料理を作ってくる可能性が高い。それだけ、ユアンはカリスマ性が高く多くを惹きつけていく。無論、一瞬の出来事。見事に、簡単に落ちてしまう。
「話もいいが、食べて欲しい」
「はい」
「全部、食うぞ」
「母親の料理より美味い」
「あっ! それ、同じだ」
普段、どのような料理を食べているのか。男達は、自身の母親の料理を貶していく。相当不味い料理を食しているのか、互いに置かれている立場を同情していく。イリアは母親がユアンのような料理の腕前を持って欲しいと願うが、期待する方が間違っている。何せ、差が大きい。
なら、今美味しい料理を食べ満足する。
互いの考えが一致しているのか、ユアンの手料理をバクバクとがっついていた。流石、美味い料理。一瞬のうちに胃袋に納まっていくが、それは男達だけではない。イリアを抜かした女達も、同じようにがっついていく。どうやらユアンの料理の前では、礼儀や節度や品格はぶっ飛ぶ。