エターナル・フロンティア~前編~

 騒ぎを聞きつけ、空港関係者が集まってくる。それでも尚、彼女達の文句は続く。すると今まで我慢していた相手が怒りだす。無理もない、何の面識もない人間に逆切れされたのだから。

 空港関係者に続き、周囲に野次馬が集まりだす。その中心部分で揉め事を起こしているのは、同じアカデミーの生徒。いくら嫌いな相手でも、恥ずかしくて仕方がない。それにしても、このような場所でアカデミーの名が有名になるとは――校長が聞いたら、何と嘆くだろう。

 自分達が悪い。

 己の感情を抑えることもせず、爆発させた。相手にとってはいい迷惑であり、どうしてそうしてしまうのか理解できない。相手に頼む行為も物の貸し借りも、所詮同じことなのだろう。

 彼女達は、自分の都合通りに物事を運ばせる。嫌な性格といってしまえばそれまでだが、イリアは嫌悪感しか抱かない。だからそれを言葉として表すことができれば、どんなに楽だろうか。しかしイリアの大人しく物静かな性格面を考えれば、面と向かって言うことはできない。

 長く見ているのに相応しい光景ではないので、イリアは逃げるように立ち去る。これ以上、関わりを持ちたくなかったからだ。それに同じ仲間だと判断されたら、一緒に捕まってしまう。

 居場所を失ったイリアは、建物の外へ向かう。空調設備が整った温かい建物の中にいた方が身体は優しいが、二人の終わることのないいい争いが耳に入り、それに顔を見たくはなかった。

 冷たいコンクリートの上に座ると、膝を抱え幼馴染が迎えに来るのを待つ。到着まで四十分――携帯電話で現在の時間を確認すると、電話を掛けてからそれほど時間が経過していないことを知る。

 寒い中で動かないのはとても辛いのだが、だからといって行く場所がない。それに約束したからには目立つ場所にいないと、迷惑を掛けてしまう。四十分は長い時間であると思われるが、アニスとディアーナの影響で待つことに慣れているイリアにとって長くは感じない。

 ふと、服の隙間から入ってくる外気に身体を震わす。それに尻から伝わる冷たさも加わり、徐々に体温を奪っていく。一応手袋をしていても指先は冷たく、半分感覚が失われていた。手を口元に持って行き温かい息を吹きかけるも温まるのは一時的で、冷たい指先に戻ってしまう。

 寒い季節でなければ何時間でも待つことができるのだが、今の時期は芯から冷え切ってしまう。ふと視線を横に向けると、タクシーを使い帰宅する者の姿が見て取れた。イリアも金に余裕があればタクシーを利用していたが、財布の中身はこの季節のように寒く更に貧乏で頭が痛い。
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