エターナル・フロンティア~前編~

 それは、誰に言っているのか。

 ソラか。

 それとも――

 ユアンは視線を上に向けると、大きく息を吐く。

 不自由なく仕事を行っていると周囲から思われているが、彼は肉体的・精神的ストレスを溜め込んでいる。

 それを表面に出すことをしないだけで、機会があれば愚痴として外に出す。知られざる、ユアンの一面。これこそ、彼が周囲に隠している本音の部分といっても過言ではない。ユアンの肉体は、機械で造られてはいない。

 勿論、心も生身だ。

 その為、弱い部分も持つ。

 何度か、言葉を呟く。それは声音として形成されていない声音で、ユアン自身何を発しているのか理解していない。

 だが、何度も呟く。

 刹那、携帯電話が鳴る。

 着信音を聞くと反射的に、携帯電話を手に取り着信相手を確かめる。すると、肩を竦めていた。

「……煩い」

 気に入らない相手からの電話なのだろう、思いっきり毒付く。しかし、出ないわけにはいかない。やれやれというかたちで、電話に出る。そして聞こえてきた声音に、眉が動いた。

「そう……ですか」

 相手からの言葉――

 それは、この場所に相手が来るという。

 厄介な相手の訪問に、顔を顰める。正直、この人物の訪問を歓迎することはできない。だからといって、訪問を妨害することはできないでいた。仕方ないので、相手の訪問を待つ。

 しかし――

 問題が生じる。

 ソラの存在だ。

 一体、どうすればいいか。

 周囲に視線を走らせていると、隣接する部屋へ続く扉が視線に入った。瞬間、口許が緩む。

 隣接する部屋は、大量の資料が納められている。

 勿論、それ以外も置いてある。

 完全、極秘の部屋。
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