エターナル・フロンティア~前編~
ユアンは一度、興味本位で彼等が集まり言い合っている場所を覗き見た。しかし嫌悪感が襲い掛かり、その場所を後にしたという。それだけ独特の雰囲気が漂い、鉄の精神を持つユアンを退散させた。
あの場所は、言葉で表現するのは難しい。様々な物が入り混じり、独特の状況を生み出している。
漂う物は粘り付き、実に重い。
また、言葉にオブラートで包まれておらず直接的。どれもが鋭い切っ先を持ち、利用者に突き刺さる。言葉という目に見えない物なので、肉体は傷付くことはないが、精神を痛める。
勿論、血は出ない。
人間は肉体を痛め付けられるより、精神を痛め付けられる方が相当堪える。中には、命を奪う。レナはユアンを悪の象徴のように思っているが、誰もが心の中に悪魔を住まわせている。
それが表に出るか出ないかの問題で、あの場所に集まり自由に言っている人物は、悪魔が見え隠れしている。
だが、本当の意味で目覚めていない。目覚めていないからこそ、大きな争いに発展していない。
それは手を出し出血が伴う争いではないが、表面に出ない影での争いは今も続いているのだった。
「貴方の言葉とは思えないわ」
「買い被り過ぎです」
「私は、高く評価しているもの」
「それは、どちらの面で高く評価しているのでしょうか? いえ、聞かなくてもわかります」
其処で一回言葉を止めると、再び言葉を続けた。
「それに、現在の状況を作った理由と同じです。彼等の捌け口の場所を奪ってしまうと、何が起こるかわかりません」
流石にそのように言われると、レナは反論の言葉を失う。彼女も、人間が持つ負の部分の強さを知っている。そしてそれが暴走した時、どれだけの破壊力を出すかもわかっていた。
「だから、何も……」
「ユアン?」
今、彼は胸中を吐露しようとしていた。だが途中で気が変わったのか、別の方向に話を持っていく。それは、レナが科学者を目指す理由だった。今までとの話の流れから考えて、どうしてこの流れに行き着いたのかは不明だが、純粋にユアンの好奇心ともいえるのだった。