エターナル・フロンティア~前編~
その時、何を思ったのかユアンはソファーから腰を上げ、美しい夜景が見える巨大な窓の側に立った。
彼の目に映っている光の中には、それぞれの人間が生活を送っている。勿論、全ての人間がいい人間とは限らない。それは、先程の話で証明していた。だからこそ、再度同じ内容は言わない。
光を見詰めていると、ユアンは愁いを含んだ表情を作る。だが、一定の音量で言葉を出していった。
「僕は、止めません」
「……わかっているわ」
「と言って、言い訳をするつもりもないです。部下の中には、世界の情勢を言い訳にしていますが、それはズルいと思います。人間は、意志によって動く生き物。そうするという意思がなければ、動かない。僕は、自分の意思で動いています。ですので、止めても無理です」
ハッキリとした意思を聞き、レナはユアンに何を言っても無理と知る。しかし、完全に諦めたわけでもない。彼が本当の意味で危険なことを行なった場合、止められる人物は限られてくる。
その役割がレナ。まさか、この年齢でこのような役割が回ってくるとは思わなかったらしく、気苦労が大きい。だからといって、愚痴をもらすことはしない。今、彼女しかストッパーになれないからだ。
「ひとつお聞きしていいですか」
「何かしら」
「以前……を行なっていたと聞きました」
「それを何処で……」
「裏の世界に身を置けば、様々な噂を耳にします。現在ではこれは耳にしませんが、過去は……」
「ええ、そうよ」
「そうですか」
二人が交わした言葉は短かったが、ユアンにとってはそれ以上必要なかった。彼は瞬時に意味を悟り、レナが隠している言葉も理解する。そして更に、今もそれが続いていると――
「知りませんでした」
「隠しているのでしょ」
何となく、意味がわからなくもない。この出来事は、ユアンに知られたらおかしな方向に流れていく。行なっている者達も、長年の経験と本能で悟っているのか、必死に隠している。それを知ったユアンは、クスクスと怪しく笑う。そして、突っ突いてみようと考えた。