エターナル・フロンティア~前編~
「他に、何処かへ行きますか?」
「いえ、無いわ」
「では、お帰りですか?」
「そうするわ」
目的は、達した。
よって、長々と居座る理由はない。
レナは「疲れた」と一言言い、帰る理由とした。
彼女の年齢が年齢ということで、ユアンはその言葉に対して、深く追求しようとはしない。
ただユアンは無言で頷き、エレベーターが設置されている場所へ案内し、地下から地上へ行く。
「本当に、発展したわ」
「この場所ですか?」
「それも含めて、様々な場所が……」
その「様々」という単語の中には、複数の意味が含まれている。レナが現役時代から今まで、長い歴史の中ではほんの一部分。建築物やファッション。それに、食べ物の大幅な変化はない。
しかし表面での変化はないが、内面的部分の変化は著しい。これも生身の人間が関わっている所為だろう、レナはその部分を言いたかったのだ。現に、彼女がいる研究所がいい例だ。
「では、失礼するわ」
「また、何かありましたら……」
「ないことを祈るわ」
レナにしてみれば、この先平凡な毎日が続くことを願う。だが、運命はそれを許してはくれないことを本能的に悟る。
研究所の中でレナは、イリアに会った。この瞬間、運命は別の出来事を用意したのだった。
再び、混沌とした中に戻る。
だが「ソラに会いたい」と言っている時点で、望んで混沌とした世界に戻ろうとしているのだろう。
なんだかんだで、長く生きた世界。平穏を望んでいても、感覚が求めているといってもいい。
周囲もレナが帰ることに気付いたのか、次々と集まってくる。出迎えも凄かったが、帰宅時も凄い。いや、帰る方が人数が多い。レナを知らなかった人物が周囲の説明を受け、尊敬の対象にしたからだろう。レナは熱い視線を送られることに文句を言うつもりはないが、少々鬱陶しい。