エターナル・フロンティア~前編~

 ソラはレナの手を軽く握り締めると、トコトコとゆっくりとした歩調で安全な場所へ連れて行く。それと同時に、幼稚園児達が先程二人が立っていた場所に駆け寄り、わいわいと騒ぎ出す。

 それを見たソラは、心の中で「危なかった」と、思う。あの強烈な幼稚園児達に体当たりされたら、身体が弱いレナが怪我してしまう。それを未然に防げて、ホッと胸を撫で下ろした。

「次、何処へ行く?」

「婆ちゃんが、好きな場所に」

「では、動物と触れ合える場所へ行きましょう」

「そんな場所、あったかな」

「ええ、地図に描いてあったわ」

 その言葉に、ソラは周囲に視線を走らせ地図を探していく。すると、近い場所に地図が設置されていた。それを見たソラは地図の場所へ行くと、レナが言う動物と触れ合える場所を探す。

「あっ! あった」

「あったでしょう」

「じゃあ、婆ちゃんの言葉を優先して」

「ひとつお願いしていいかしら」

「何でしょう」

 レナの頼みごとは、変に敬語を使わないで欲しいというもの。「婆ちゃん」と呼んでもらい祖母と孫の関係を演じているが、敬語を使われると本当の祖母と孫の関係にはなれないと思ったのだ。

 指摘を受け、ソラはキョトンっとしてしまう。失礼ながら、言われるまで気付かなかった。彼にしてみれば、目上の人に対し敬語を使うことは当たり前と思っていたので、普通に敬語を用いていた。

 しかしレナは、それを行なわないで欲しいと頼む。何度も続く頼みごとであったが、ソラは嫌な顔をひとつすることはなかった。彼は無言で頷くと、彼女の願いを聞き入れることにする。

「オレ……婆ちゃんが本当の婆ちゃんだったら、良かったと……一緒に暮らしたいとは、言わないけど……」

「する?」

「いや、何と言うか……」

 「婆ちゃん」と呼んでいるので、敬語を使わないで欲しいと言われたことを素直に受け入れ、それを実行することができた。そのことにレナは優しい視線を向け、ソラが言う「一緒に暮らす」という言葉が本当になってほしいと願うが、言葉に出して本心を言うことはしなかった。
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