エターナル・フロンティア~前編~

 彼が第一に考えたのは、己が持つ力。確かにレナはこの力に関しては肯定的な意見を持ち、温かく見守ってくれる数少ない人物。

 しかしレナは高齢で、万が一何かが発生した場合、取り返しの付かないことになってしまう。

 ソラは、それを恐れていた。本当は、レナと一緒に暮らすことができれば、どれほど幸せか。だが、叶わぬ夢。いや、願ってはいけない叶えてはいけない夢と言い聞かし、諦める。するとソラの心情を見抜いたのか、レナは「時々、自宅に遊びに来ていい」と、言ったのだった。

 その言葉にソラは目を見開き、言葉が見付からないのか口をパクパクしてしまう。そしてやっと出した言葉は「はい」という、彼女の言葉を受け入れるもの。それも、蚊の鳴くような声で――

 勇気を出し発した言葉に、レナはソラの身体を優しく抱き締めた。細い腕と身体から、心地いい温もりが服を通して伝わってくる。その温かさにソラは目を細め、そっと顔をレナの胸に埋めた。

「大丈夫?」

「……はい」

 微かに震えている身体に、レナはソラの頭を優しく撫で落ち着かせていく。そして落ち着いた頃合を見計らうと、両手でポンっと肩を叩き身体を放し、悲しみで歪んでいるソラの顔を見詰めた。

「悲しい顔は、似合わないわ」

「……婆ちゃん」

「ほら、元気元気。そうね。今日は、家にいらっしゃい。ゆっくりと、お話をしたいのよね」

「明日は、仕事で……」

 ふと、其処で言葉が止まった。確かに明日は仕事だが、早朝急いで出て行けば間に合わなくもない。それにソラも、ゆっくりと落ち着いた場所でレナと話したいと思っている。また、若い頃の父の話も聞きたかった。

「夕飯作るよ」

「あら、料理できるの?」

「一人暮らしだから」

「そうだったわね。なら、お願いするわ」

「じゃあ、動物園の後に買い物に」

 ソラが決めた次の予定に、レナは頷き返す。そして彼の目の前に手を差し出すと、手を繋ぎたいということを態度で示す。差し出された手を握り締めると、ソラはレナの歩調に合わせるようにして足を動かし、レナが行きたがっていた動物と触れ合いができるエリアへ向かった。
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