エターナル・フロンティア~前編~

「……タツキ。オレって、何処で産まれたのかな」

「どうしたの? いきなり」

「子供の頃の記憶が、曖昧なんだ。父親とシルアを離れる前が、思い出すことができない。それに何故、今の地位にいるのだろう。自分の意思……それは、違う。わからない、本当に」

「薬の副作用……という可能性があると思うけど……詳しく調べないと、何とも言えないわ。そのような現象、今まで聞いたことがないわ。ソラ君だけが特別。御免なさい。わからないわ」

「時々、見る夢。優しい女性が、オレに声を掛けてくる。だけど、それが誰かはわからない。顔が、見えないから」

「その女性って、アタシなら嬉しいわ。ああ、アタシって罪な女。殿方の夢の中に、現れるんですもの」

 そのように言うとタツキはソラの身体を抱き締め、頭を撫でていく。ソラは子供扱いされていることに腹を立てるも、彼女が行っていることなので諦めることにした。それに、肌から伝わってくる温もりが気持ちいい。まるで、母親に抱き締められているような心地良さがあった。

「タツキじゃないよ」

「どうして?」

「とても、懐かしい感じがした。でも、会ったことは一度もない。だけど、近くにいてくれると嬉しい」

「意外に、ソラ君の理想の人だったりして。理想の人が形となり夢に現れるなんて、よくあることよ。と言ってもこれは個人的な見解だから、本気にしないでね。嘘だったら、困るから」

「タツキらしい意見だね。でも、理想の相手……今まで、考えたことなかった。だって、オレは……」

 力を持つ者として生まれ、今まで様々な体験してきた。その中で一番堪えたのは、偏見だった。ただ、力を持っているだけだというのに。何故(なにゆえ)ここまで避けられるか。一度は、そう思った。

 好きで、力を持って生まれてきたのではない。だというのに、差別が行われる。疑問は、一部の人間しか持っていない。だからこそ、ソラ達能力者(ラタトクス)が生き方を選ばないといけなかった。

 それも、悲劇的な人生を――

 自分が持つ力は、相手を傷付けてしまう。よって、自ら身を引かなければいけない。特に恋愛に関しては、悲観的なことが多い。もしかしたら相手を……という、恐ろしい結末が待っているからだ。だから、理想の相手など考えたことはない。いや、考えてはいけなかった。
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