エターナル・フロンティア~前編~
モルモットに、特別な感情は湧かない。そもそも、感情を持つ必要はない。それは無機質な道具を扱うのに等しく、それ以上に特別な感情を持っては実験や研究を行うことができない。
「タツキは、タツキであってほしいよ」
「言われなくとも、そのようにするわ。ソラ君は、可愛い弟なのだから。だから、生きてほしいわ」
「……ああ、努力する」
「努力は、困るわ」
「御免。そして、有難う」
ソラの礼の言葉に対し、タツキは優しく微笑み返す。しかし、その笑みの裏側に隠された深い悲しみをソラは知らない。能力者が平穏を望もうとも、それを阻害する人達がいることは間違いない。そして悲しみは永遠に続き、彼等に平穏が訪れることは有り得ないだろう。