エターナル・フロンティア~前編~
「その答えを出すべきではないと思うわ」
「どうして?」
「片方を正しいと述べれば、違うと否定された側が怒るからよ。否定された側も、それなりの信念で言っているのでしょうから。まあ、物事には限度というものがあるけれども。難しいわね」
相対する意見は、どちらが正しくどちらが間違っているとは言い難い。今回の意見は両方とも、それなりに筋が通っている。だからこそ、否定された場合の反応は思った以上に大きい。
だが、能力者には不利な一面が多すぎる。それは、圧倒的といえる数の差。能力を持つ人間は全人口の1パーセントにも満たなく、それに年々その数を減らしているのが現状だった。
どのような意見であったとしても、数が多い方が正しいと認識されてしまうのが世の中の摂理。その結果、不条理な状況を作り出し、ますます能力者が生き難い世の中に変わってしまう。
「オレ達の考えは、間違っているのだろうか? それに、生きていていいのか。産まれてきた時点、否定されている」
「その考えは、間違っていないわ。差別はあってはいけないもの。でも、胸を張って正しいとは言えない」
「わかっている。わかっているけど……」
差別の対象だからといって、その命を奪っていいというのか。答えは否。そのようなことは、認められない。しかし、力を持たない人間はそれを平気で行う。恰もそれが正当な行為のごとく。
それは殺人であるが、それを正す者はいない。もしいたとしても、タツキと同じ道を進むであろう。つまり、大勢が持つ考えからかけ離れた存在。異端者――そのようなところだろう。
「根本的なところから変えないと駄目ね。そうしないと、いつまでたっても今のままが続くわ」
「無理にきまっている」
「ええ、今は……」
「人は、何をしようとしているのか。オレ達を排除することを望む者もいれば、科学者のように、力の研究を行いたいという者もいる。やっていることが、統一感がなく矛盾している」
能力研究は、未知の力の解明。それが建前であったが、やっていることは非道そのもの。科学者は、能力者を研究対象としか見ていない。だからこそ、あのようなおぞましい行為も平然と行える。姿形が人間であっても、これは別の物。所詮、実験用のモルモットに過ぎない。